客観的合理性が無い限り、解雇権の濫用になります。
採用内定の取消は、労働契約法16条の解雇(○解雇参照)と同様に扱われ、客観的合理性が必要です。採用の前提事項(資格取得、学校卒業等)が履行されなかったなど労働者側の事情で無い一方的な内定の取り消しは無効です。また、会社の経営的な事情から内定取り消しとなる場合、解雇と同様整理解雇の4要件を満たす必要があります。(労働基準法20条、労働契約法16条)
常時10人以上(正規・非正規問わず)が就労する職場はいつでも誰でも閲覧出来るようにしなければなりません。就業規則は常時10人以上の労働者が就労する職場は労基署への届出と、労働者への周知が義務付けられています。10人未満の職場でも作成し周知することが望ましいとされています。(労働基準法第89条・第90条・第106条)
法定労働時間(1日8時間、週40時間)を超えて働く場合36協定を締結し労基署に届ける事が必要です。また、月の残業時間は原則月45時間、年360時間までとされています。限度時間を超えて残業する場合、予期せぬ納期の変更などやむを得ない臨時的な事情の特別条項として、協定を結ぶ必要があります。その上限は単月で100時間未満や2ヶ月~6ヶ月平均80時間以内(休日労働含)等となっていますが、労働者への安全衛生配慮義務がある会社は、残業をしなくとも労働者の生活が成り立つような経営をするべきです。過労死に繋がるような残業は決してさせないという態度に、改めさせる必要があります。(労働基準法第32条、第36条、40条)
想定内の過失で上限を超える損害賠償をする必要はありません。
労働者が故意に起こした事故等は保障の対象になります。しかし、業務を遂行する上で、通常起こりうる損害は全額保障する必要はありません。減給制裁の場合、1回の減給額が平均賃金の1日分の半額を超え、総額が一賃金支払期における賃金総額の10分の1を超えてはならないとされています。(労働基準法第91条)
会社都合の休業は賃金支払い義務があります。金額は平均賃金の6割ですが、不景気などで休業させる場合全額請求できる事もあります。会社都合でない場合、労働災害は労災保険から休業補償を受けられます。また私傷病の場合、傷病手当を受給出来ます。天災事変等の場合、就業規則、労働協約を労使で定める必要があります。(労働基準法第26条)
会社は労働時間が6時間の場合は45分、8時間を超える場合1時間の休憩を与えなくてはなりません。休憩時間は労働者が労働から離れることが権利として保障されていなければなりません。例えば電話対応や荷物の配送などの待機時間は休憩に含まれません。(労働基準法第34条)
短期雇用、正規・非正規に関わらず、6ヶ月継続して勤務しかつ8割以上出勤している方には最低10日間の年休を付与されます。労働者は年休取得を申し出る際、会社に取得理由を言う必要も無く、会社の運営に大きな影響を及ぼす事が無い限り会社は他の時季に変更を指示ことは出来ません。いつでも取得する事が出来る権利です。また、労使協定を締結することによって5日分以内の日数について時間単位で取得が可能です。年休の時効は2年です。会社が年休を買い上げる事は労使の合意があってもできません。(労働基準法39条)
身体的な攻撃(暴行・傷害)、精神的な攻撃(脅迫・暴言等)、人間関係からの切り離し(隔離・仲間外し・無視)、過大な要求(業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制、仕事の妨害)、過小な要求(業務上の合理性なく、能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや仕事を与えないこと)、個の侵害(私的なことに過度に立ち入ること)、これらがパワハラの分類となっています。事業主の責務として、ハラスメントを行ってはならない旨の方針の明確化、就業規則等の文書で行為者に対する厳正な対処の方針や対処の内容を規定し、これを労働者に対して周知、啓発、相談体制の確立、事後の迅速かつ適切な対応、相談者・行為者等のプライバシーを保護するための措置を講ずることとなっています。また、望ましい取り組みとして、セクハラ・マタハラとの一元的に相談に応じることができる体制整備、職場におけるパワハラの原因や背景となる要因を解消するための取組、必要に応じアンケート調査や意見交換を実施する等して、雇用管理状況の適正な把握や見直しの検討等に努める、があります。解決に向けては、証拠が大切になります。いつパワハラが起きるかわからないため、難しいことではありますが、録音やノートで、いつ、誰が、どこで、何をされたのか記録を残しましょう。(労働契約法5条、労働施策総合推進法30条)
労使協定を締結する、就業規則の改正などの際、過半数組合が無い場合は労働者の過半数代表を選出します。その際、匿名性が担保されない投票の仕方や、会社の意向が強く反映された選出方法は望ましくありません。また、管理監督者の立場の役員等が候補者となることは出来ません。(労基法施行規則第6条)
会社が労働者を解雇するには合理的な理由が必要です。
会社が労働者を解雇するには、合理的な理由が必要です。普通解雇や制裁として履行される懲戒解雇なども、客観的合理性・社会的相当性などの理由が必要です。整理解雇についても、1.人員整理の必要性、2.解雇を回避する努力の履行、3.解雇者選定の合理性、4.解雇の手続きの妥当性、が問われます。何故解雇されるのか理由は明らかになっているか、解雇の予告はされたか、解雇通知はあるか等、確認すべきです。一方的な解雇は不当労働行為となりますので、解雇を言い渡されてもその場で合意せず、持ち帰り、相談しましょう。(労働基準法20条(解雇の予告)、労働契約法16条(解雇)等)
労働者には退職の自由があります。退職の意志表明(退職届)から2週間が経過すると契約は終了します。労働条件が労働契約の内容と異なっていた場合は、退職出来ます。1年の有期雇用契約の場合、1年を超えた後であれば、いつでも退職が可能です。離職票を送らない等の会社の行為は不当労働行為となります。(民法627条、労働基準法15条、137条)
有期雇用契約の更新について、雇用継続の期待値に合理性があれば、解雇は認められません。更新が繰り返し行われて来た、労働者から更新の申し込みがあった、業務の内容や責任が他の正社員と変わらないなどの状況がある場合、会社は無期雇用への転換などをしなければなりません。(労働契約法16条、19条)