京王電鉄らによる違法な雇用延長差別を免罪した最高裁不当決定に対する声明
京王電鉄らによる違法な雇用延長差別を免罪した不当決定に対する声明
2020年10月9日
2020年10月6日、最高裁判所第三小法廷(裁判長宮崎裕子)は、上告人兼申立人ら3名による上告を棄却し、同人らの上告受理申立を受理しない決定をした。同決定は、定年後の雇用延長差別を容認し、上告人兼申立人らのバス運転士としての労働契約上の地位を認めないばかりか、損害賠償請求も認めないという東京高等裁判所における不当判決を維持する判断にほかならない。会社による違法な雇用延長差別を免罪した本件決定に断固として抗議する。
本件は、入社以来30年前後にわたってバス運転士として働いてきた上告人兼申立人ら3名について、定年後、希望するバス運転士の仕事を取り上げ、ひたすらバス車両の清掃業務に従事させ、賃金も生活扶助以下の著しい低額で定年前の年収の30%以下とする酷い扱いに対して、上告人兼申立人らがバスの運転手(継匠社員)としての地位の確認と損害賠償の支払いを求めて提訴した事件である。
高裁判決は、高年齢者等の職業の安定その他福祉の増進を図ることをかかげた高年齢者雇用安定法の趣旨に反する不合理な差別であることを看過し、その違法性を否定したものである。本件において会社は、旧高年法のもとで定年後にバス運転士として雇用を継続するとしていたものを2012年に同法が改正されて希望者全員の雇用が義務づけられるようになると、ひたすらバス車両の清掃業務に従事させる再雇用社員制度を設け、上告人兼申立人らにこれを適用するという著しく不合理な取扱いをしたものであるが、最高裁は、このような著しく不合理な高裁判決を維持したのである。このような最高裁の決定は到底容認できるものではない。
しかも、本件の雇用延長差別は、京王新労働組合(以下「京王新労」)の現職の執行委員長のほか中心的な活動を担ってきた上告人兼申立人ら3名に対する不当労働行為であり、組合としては、労働委員会に救済を申し立てて係争中であるが、上告人兼申立人らは、本訴においても不当労働行為による違法行為として争ってきた。京王新労は、2001年に京王電鉄と連合労組が合意した大幅な労働条件変更を伴うバス部門分社化に反対して結成された労働組合であり、会社から様々な組織破壊、差別攻撃を受けている。会社の業務引き継ぎ文書においては組合員に対する差別的な査定を継続するよう指示したり、組合員について「許されるなら中央線の線路に突き落としてください」と記載するなど、会社は徹底して新労を敵視している。しかるに、最高裁は、本件の雇用延長差別について、不当労働行為と認めず、地位確認はもとより、慰謝料の支払いも退けた高裁判決を維持したのである。このような最高裁の決定は到底容認できるものではない。
さらに、最高裁の決定は、上告人兼申立人らの上告を棄却し、上告受理申立を不受理としたことについて一切理由を示していない。上告人兼申立人らの訴えに一切応えず、三行半を下したものであって、この点においても到底容認できるものではない。
我々は、今後も、上告人兼申立人らをバス運転士として復職させ、京王新労に対する不当労働行為をやめさせるためにたたかうものであり、会社に対して、争議を全面解決するよう強く求めるものである。
建交労京王新労働組合支援共闘会議
京王新労差別事件弁護団