全国建設・関連部会「建築設計者交流会in京都」開催
全国建設・関連部会では、さる7月27日に「建築設計者交流会in京都」を開催しました。
建設・関連部会は、業種でいうと「建設」そのもののゼネコンや建設会社で働く組合員と、測量、地質調査、建築設計、ビルメンテナンスなどの「建設関連」の職場で働く組合員が所属をしています。建築設計の組合員は京都、名古屋、東京に分かれて存在しているため、直接話をする場が少ない状況でした。今期、部会長が群馬の組合員から、大阪の組合員に変わったことを機会に京都での会議開催となりました。
建築設計の組合員は中小規模の建築士事務所で働く仲間が主ですが、自分で事務所を開設している人や、建設会社、デベロッパーなどで働いている人もいます。それぞれ働く会社が違っても同一労働であれば同一賃金であるべき、という考えが全国建設関連部会の根本にあります。しかし、実際に中小零細で働く建築設計者は低賃金と長時間労働に苦しんでいます。
今回の「建築設計者交流会in京都」は、今年1月21日に国土交通省告示15号が廃止になり、同日に新たな告示98号が施行された混乱がまだ収束しない時期に開催されました。これらの告示は「建築士事務所の開設者がその業務に関して請求することができる報酬の基準」を示したものです。国の基準ではありますが法的拘束力はなく、実際には旧告示15号で計算するよりはるかに安い設計料で受注している状況が続いていました。一方で本来受け取るべき報酬を示したものとしていつか実現すべき目標と捉えていたし、依頼者との交渉の材料としても使っていました。それが新告示98号では大きく変化し、報酬額が実際受け取っている金額に近い額となり、さらに小規模建築では赤字になってしまうほど報酬額が少なくなります。今回の会議ではこうしたシミュレーションの結果を各職場から持ち寄り検証を行いました。全国の建築士事務所でもまだまだ検証の途中であり、新告示の評価を固めるには今後の検証と解明が必要です。
建交労組合員が働く建築士事務所の特徴は、住まいや福祉施設、医療施設の設計が多いことです。特に福祉施設は社会福祉法人やNPO法人が公の補助金を受けながら進めることが多く、補助金を得るための仕組みが「よりよい建物づくり」の妨げになっている事例も報告されました。この点も共通にまとめて制度要求もしていこうという確認も行いました。
普段は離れた場所で活動する組合員同士が顔を合わせて話したことで、それぞれの職場が抱えている問題が共通する問題であることを確認し、また協力し合えばよい方向に変えていける、という手ごたえを得ました。財政上の制限もあり頻繁には無理でも、この交流を今後も続けていきたいと考えます。